原晋監督著書「勝ち続ける理由」
お正月の風物詩「箱根駅伝」を、現在史上最強のチームに育てている、原晋(ハラ ススム)監督。
原監督は、サラリーマン出身ということで、学生の指導方針が、社会のサラリーマンの事例によくあてはまり、部下の指導法の参考にと言われています。
そんな原監督の、新しい著書が発売されたので、早速読んでみました。
青山学院の箱根駅伝
青山学院大学はほんの10数年前までは強豪校から程遠い存在でした。
ただ、2009年に33年ぶりに箱根駅伝に出場しました。しかし総合順位では最下位で、まだまだ実力校というには、程遠い大学でした。
しかしその後、着実に力をつけ、2010年は総合8位、2011年も同9位と、何とかシード権を確保できるレベルまで上がってきました。
しかし、その先に更に一歩前へ進めようとすると、数段のレベルアップが必須になります。
そんな状況の中、青山学院大学がなぜ今や向かうところ敵なしの常勝チームにまで成長できたのか?!
それが、『勝ち続ける理由』には、書いてありました。
勝ち続ける理由
この本は、青学の原晋監督自らが勝ち続ける組織づくりの実践と哲学を明かした、痛快かつ実践的な組織論・人材育成論です。
スポーツの指導者はもちろん、ビジネスパーソンにとっても、部署のマネジメントや部下の指導に生かせる考え方、事例が数多く盛り込まれていて、幅広い人々に読める本となっています。
目標管理シート
例えば、選手たちの成長をうながすための目標管理シートの活用法は、すぐにでも職場に取り入れられそうです。
青学では、選手たちは全員A4用紙1枚にチームの目標と個人の目標を書きこみ、それらの目標を達成できたかどうか自ら採点して廊下に貼り出しているといいます。
選手一人ひとりの意識と取り組みが「見える化」されていると言ってもいいやり方です。
原監督はそれらを読み、選手との個別面談を行います。
目標を達成できなかった選手には助言を与え、目標が高すぎたり自己採点が甘すぎたりする選手には意識改革を促すのだそうです。
ソーシャルメディアとの付き合い方
ソーシャルメディアとの付き合い方も示唆に富んでいます。
選手がツイッターでつぶやくことさえ禁止する指導者がいる一方で、原監督はソーシャルメディアの積極的な活用を方針として掲げ、情報発信するかどうかは、その時々での選手やマネジャーの自主的な判断に任せているといいます。
その根底にあるのは「そもそも、人間というのは注目を浴びるとテンションが上がり、底知れぬ力を発揮するだけでなく、責任感も生まれてくる」という考え方だそうです。
選手たちの自己承認欲求を上手に満たしてやり、かつ責任感を育ませる原監督のやり方は、ソーシャルメディアも使い方によっては部下のやる気向上に活用できるのだと気づかせてくれます。
サラリーマンだった原監督
元々、長距離ランナーだった原監督は、中国電力で実業団ランナーとして走っていましたが、その後現役を引退した後、そのまま中国電力で営業担当者として実績を残した経歴を持ちます。
スポーツとビジネス、双方の分野で活躍した原監督ならではの洞察力が垣間見える著書です。