Jリーグは、2019年8月2日に行われるJ1第21節以降に新ルールが適用されます。
既に、女子W杯やコパ・アメリカなどで新ルールが採用されていますが、今回改めて、改正内容を確認します。
ざっくりと書くと、
・ハンド基準の具体化
・ゴールキックをPA内で受け取れる
・FKの攻撃側の壁入り禁止
・交代は近くの境界線から退場
・コイントスでボールを選べる
・決定機阻止でもリスタート可能
・監督、コーチもカードの対象
Contents
2019 Jリーグ新ルール(J1第21節~)
ハンド基準の具体化
ハンドに関する項目が具体化されました。
「反則」「通常は反則」「通常は反則ではない」の3基準が新たに設けられ、主審の主観によるグレーゾーンが縮小。
「反則」
① 手や腕をボールの方向に動かす場合を含め、手や腕を用いて意図的にボールに触れる。
② ボールが手や腕に触れた後にボールを保持して、またはコントロールして、「相手競技者のゴールに得点する」「得点の機会を作り出す」
③ ゴールキーパーを含め、偶発的であっても、手や腕から相手チームのゴールに直接得点する。
①はこれまでと同様。②と③は新たに登場した基準です。今後は手や腕にボールが当たった後に、ボールがゴールに入ったり、ゴールにつながる決定機につながったりした場合は、意図的な行為でなくてもハンドの反則となります。
「通常は反則」
① 手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくした。
② 競技者の手や腕が肩の位置以上の高さにある。
今回の改正では「手や腕の位置」の重要性が高まりました。
「通常は反則にならない」
「反則」「通常は反則」にあたる場合を除いて・・・
① 競技者自身の頭または体から直接触れる。
② 近くにいた別の競技者の頭または体から直接触れる。
③ 手や腕が体の近くにあり、競技者の体を不自然に大きくしていない。
④ 競技者が倒れ、体を支えるための手や腕が体と地面の間にある。ただし、体から横または縦方向に伸ばされていない。
今回の改正では「反則にならない」項目が新たに明示されました。
FKの壁入り禁止
フリーキックの項目に「フリーキックが行われるとき、3人以上の守備側チームの競技者が作る『壁』から、攻撃側チームの競技者が1m以上離れていない場合、間接フリーキックが与えられる」という文章が追加されました。
すなわち、攻撃側の選手は守備側の「壁」から離れる必要が出てきたということです。
この改正により、FKの壁に両チームの選手が入り乱れることがなくなり、迅速にプレーが再開されるようになります。
その一方、攻撃側選手が壁やGKの視界を妨害することが難しくなるため、攻撃側にとってはやや不利なルール変更です。
ゴールキックの変更
これまでゴールキックは「ボールがペナルティーエリア外に出た時」にインプレーでした。
今回の改正により「ボールが蹴られて明らかに動いた時」にインプレーとなります。インプレー時点が早くなることで、プレー時間をより長くするというのが狙いかと思われます。
この変更によって、攻撃側の選手はペナルティーエリア内でゴールキックを受けることができるようになり、戦術的な幅が広がります。
また相手競技者はこれまでどおりGKが蹴るまではエリア外にいなければならないため、自陣からパスをつないでいくチームにとっては有利に働きそうです。
交代時は近くの境界線から退場
これまで交代が告げられた選手はハーフウェーライン付近からピッチを去るのが一般的でした。
しかし今回の改正により、審判が特定の指示をした場合を除き「競技者は境界線の最も近い地点から出なければならない」という決まりとなりました。
改正の目的は交代による時間稼ぎを防ぎ、競技の魅力を高めることかと思われます。
コイントスのボール選択
これまでコイントスでは、勝ったほうがエンドを選ぶ(=「前半に攻めるゴールを決める」)ルールでした。
今回の改正でボールを選ぶ(=「キックオフを行うかを決める」)ことができるようになりました。
ドロップボールの変更
これまでドロップボールは両チームの選手が参加し、先にボールを触ったほうが相手チームにボールを返すのがマナーとされていました。
しかし、今後は「最後にボールに触れたチームの競技者の1人」だけが参加し、「他のすべての競技者は、インプレーになるまで4m以上ボールから離れなければならない」ことになりました。
決定機阻止でもリスタート可能に
これまでは「主審が警告または退場と判断した場合、懲戒の処置をし終えるまでプレーを再開させてはならない」というルールがあったため、もしアドバンテージが判断されるような状況であっても、カードが提示されるまでプレーを再開することはできなかった。
しかし、今回の改正では「ただし、主審が懲戒の罰則の手続きを始めておらず、反則を犯していないチームがすばやくフリーキックを行って、明らかな得点の機会を得た場合を除く」という文言が追加。攻撃側がチャンスを続けたい場合、急いでリスタートすることが可能になった。
その他、細かい主な変更点
・監督・コーチもカードの対象に(行為者が特定できない場合は監督が処分)
・柄物のアンダーシャツが可能に(その場合はユニフォームと同じ柄に限る)
・GKのスローイングが相手ゴールに入った場合は相手ゴールキックで再開
・言葉による反則は間接FKで再開
・PKが蹴られるまでの間、GKはポスト、バー、ネットに触れてはならない